私たちは日々、大気中の有害な化学物質や細菌、肌細胞を遺伝子レベルで攻撃する紫外線など、多くの環境毒素にさらされています。この過酷な状況の中、私たちの肌を守っているのが、肌の表面にある角質です。角質には、これら環境毒素の侵入や、肌の水分が空気中に逃げていくのを防ぐ働きがあります。この働きが低下すると、肌は無防備になってかさつき、小じわやしみ、くすみが出やすくなります。
ところが、女性の多くは肌を洗いすぎ、スキンケア時やファンデーションをつける際に肌をこすって、気づかないうちに角質を削りとっています。しかし、長年のケアのやり方は一種の癖になっていて、急に変えるのはむずかしいもの。ならば角質保護成分を使ってスキンケアする方法をとり入れてはいかがでしょう。
海藻はフコイダンという角質保護成分を含んでいます。潮が引いた波打ちぎわで日に照らされても海藻がなかなか干からびないのは、このフコイダンのおかげ。その作用をスキンケアに活用すれば、肌の保湿力を高め、角質を保護することができます。
フコイダンには、肌細胞の保湿成分と性質が似ているというメリットがあります。そもそも私たちの体液は海水とほとんど同じ成分ですから、海藻のフコイダンが肌になじみやすいのもうなずけます。
こんぶのかたい部分に多い「F‐フコイダン」には、角質深部の保湿作用と細胞の増殖や血管の新生を導く働きがあることも判明しました。この働きにより、傷や紫外線による炎症などの回復を早め、肌の代謝を高めて、肌の弾力のもとであるコラーゲンやヒアルロン酸の配列を整え、できてしまったメラニンの排出もスムーズにしてしみの改善にも効果を発揮します。
古くから百薬の長として知られる日本酒。清酒もろみを発酵・熟成させていますから、ダイエットや抗酸化作用などに有効な薬効成分(フェルラ酸など)がたっぷり詰まっています。
美肌効果もそのひとつです。太陽の光によって日焼けやしみ、そばかすができるのは、チロシナーゼという酵素がアミノ酸の一種に作用してできるドーパクロムが、紫外線を受けてメラニン色素に変化するため。つまり、ドーパクロムをつくり出すチロシナーゼの働きを止めれば、肌が黒くなったり、しみ、そばかすに悩まされたりすることもない、ということになります。酒粕には、その美白の敵ドーパクロムを増やすチロシナーゼを阻害するアルブチンや遊離リノール酸、こうじ酸などが豊富に含まれています。
また、酒粕には、20種類以上ものアミノ酸や有機酸、グリセロールなど、もともと皮膚の角質に存在する保湿成分もたっぷり。加齢や日焼けによって、これら保湿成分か減少した肌に、酒粕を練り込んだ石けんを使えば、肌再生アミノ酸のプロリンやアルギニンなどを補い、コラーゲンの保湿機能を高めてうるおいのある肌に戻してくれるのです。
さらに、「酒粕石けん」に含まれるタンパク質やビタミン類、マグネシウムなどのミネラル、細胞の代謝を高める核酸などの相乗効果により、毛穴から皮脂や老廃物が除かれ肌の新陳代謝が活発になります。ですから酒粕石けんは、美白や乾性肌だけでなく、ニキビやアトピー性皮膚炎の改善にも効果を期待できると考えられるのです。
健康な皮膚では、表面の角質が毎日、薄くはがれていきます。それが滞り、古い角質が残っていると、毛穴も詰まったようになって黒ずみ、毛穴の目立つ、くすんだ肌になるだけでなく、化粧水や美容液の浸透も悪くなります。
古い角質をとるために粒子状の物質(スクラブ)を加えた洗浄剤を使い、摩擦効果を高めて汚れや角質を落とすスクラブ洗顔という方法がありますが、市販のスクラブの素材には、かたいものが多く、肌を傷つけてしまうおそれもあります。また、どのくらいの頻度でスクラブ洗顔料を使うべきか、自分で見極めなくてはいけないのですが、これは一般の人にはなかなかむずかしいようです。実際、私のクリニックには、必要以上にスクラブ洗顔を行った結果、肌トラブルを起こした患者さんが診察を求めて来院することも少なくありません。
こんにゃくは食物繊維のかたまりで、食べれば腸内の老廃物や有害物質を吸着し、便として体外に排出します。こんにゃくをスキンケアに使うと、弾力のある「こんにゃくスクラブ」が毛穴の汚れをかき出すばかりでなく、毛穴にこびりついた汚れを吸着させる働きも期待できます。
肌にとっていちばんよくない洗順法は、ゴシゴシ顔をこすって、肌に余計な刺激を与えることです。炎症の原因にもなり、繰り返し不要な力が加わることで肌にはダメージが蓄積していきます。せっかく浮き上がった汚れを毛穴に押し戻すことになり、それが肌のくすみやニキビを引き起こす原因になったり、とりすぎた皮脂を補おうとして過剰に皮脂を分泌させたり、角質がとれすぎて紫外線の影響を強く受け、しみやしわができやすくなったりします。かといって、フワフワの泡でやさしく包むだけでは、小鼻のきわなど脂っぽくなりやすい部分まできれいに洗うことができず、汚れが残ってしまうことにもなります。毛穴などに残った古い皮脂が酸化すると、これもしみやくすみの原因になります。
理想は、肌に不要な刺激を与えず、汚れや余分な皮脂のみをしっかりととり去る洗顔。この条件を満たすのが「筆洗顔」です。細かい筆先が毛穴の奥まで入り込んで汚れをかき出してくれるため、肌に力がかかりすぎることもありません。使用する洗顔料は、いつも使っているものでかまいませんが、あえてあげるとすれば、石けんとしての純度が高く泡立ちがよい完全飽和脂肪酸石けんをおすすめします。
肌にやさしい筆洗顔とはいえ、やりすぎに気をつけ、皮脂が酸化している夜の洗顔時に行うのが効果的です。
「黒酢」には、血液をサラサラにして高血圧や動脈硬化を防ぐほか、冷え症や便秘の改善、ダイエット、骨粗粗症の予防など幅広い健康効果があり、中性脂肪を減少させる働きに関しては、病院で使われる薬に匹敵する作用を持つことがわかっています。さらに、黒酢はニキビや吹き出物、乾燥肌やしみ、しわなどのトラブルを改善して、きめ細かな肌づくりにも役立ちます。
さばなどの腐りやすい食品を酢で締めるのは酢が殺菌作用の強い食品だから。肌に対しても、ニキビや吹き出物の原因になる雑菌を除去し、雑菌の繁殖を防いで肌をすっきりさせます。また、黒酢に含まれる17種類ものアミノ酸は常に新鮮な肌細胞を育てるのに役立ってニキビあとなどを修復し、しみやしわのできにくいツルツルの肌づくりを助けます。
この黒酢の効能を生かして作る、肌にやさしいクレンジング用の洗顔料、いわば黒酢のふきとり化粧水をご紹介しましょう。
酢のにおいが苦手な人は、肌につけたあと、洗い流す黒酢洗顔を試してみてはいかがでしょう。多少、酢のにおいはありますが、数分で飛んでしまいますし、5~10分で洗い流しても黒酢の効果は期待できるでしょう。
子どものころ私は、色が白いのを友人にからかわれるのがいやでしようがありませんでした。なんとか男性的な黒い肌になりたいと思い、緑茶で顔を洗ってみました。湯飲み茶わんにつく茶渋の色から連想して、緑茶で洗顔すれば肌が黒くなるだろうと考えたのです。ところが予想に反して、黒くなるどころか、ますます色白になるばかり。がっかりでした。
私の鍼灸治療院で、治療時に女性の患者さんから美容の相談を受けることも多いのですが、なかでも「色白になる方法はないですか」という質問をする人が多いのです。美白クリームは多々ありますが、値段もけっこう高いもの。そこで、子どものころの経験から思いついたのが「緑茶洗顔」です。
賢いスキンケアをするには、まず洗顔が重要な役割を担っています。しっかり汚れが落ちていなければ、いくら上等の化粧水や乳液をつけても肌に浸透しません。
豆乳に含まれている大豆サポニンは、構造上、水ととけ合う親水基と、油脂成分ととけ合う疎水基をあわせ持っています。この構造は、洗剤と非常によく似ており、石けんや洗顔フォームで洗顔したあとに「豆乳洗顔」を行えば、肌や毛穴の汚れや余分な皮脂を落とすことができます。大豆サポニンには、抗酸化作用や過酸化脂質の生成を抑える作用もあり、しみや色素沈着を防ぎ、肌を老化させる活性酸素を排除するほか、水道水に含まれる遊離残留塩素の害も防いでくれます。
サポニン以外にも大豆には、保湿効果のある油分やレシチン、血行を高め肌の血色をよくするビタミンE、そして大豆イソフラボンなど、多くの美肌成分を含んでいます。とくに大豆イソフラボンは、体内では女性ホルモンであるエストロゲンの代役になり、女性の体調の不安定さを緩和することがわかってきました。もうひとつ、イソフラボンの作用といえば、産毛を薄くすること。体毛が濃くなるのは男性ホルモンによるものですが、イソフラボンがその働きを阻害するためです。
最近の研究で、焼酎を適量飲むと血管中の血栓をとかす酵素が2倍以上に増え、血液をサラサラにするとわかってきました。そのうえ、焼酎は、肌につけても美肌効果が期待できることが明らかになってきているのです。実際に沖縄では「泡盛をつけると肌がすべすべになる」と言い伝えられているくらい、焼酎の美肌効果は古くから指摘されてきました。
焼酎には何度も蒸留を繰り返して原材料の持つ香味や雑味がとり除かれて純粋なアルコールに近くなった甲類と、蒸留は一度だけで本格焼酎と表示される乙類があります。果実酒に使われるホワイトリカーなどが甲類で、泡盛をはじめ、米焼酎、麦焼酎、いも焼酎、黒糖焼酎などは乙類です。乙類の本格焼酎は、その原料や水以外の物品の添加が法律によって細かく規定されています。
本格焼酎には、たとえばしみやそばかすの原因である活性酸素を除去してくれる抗酸化成分など、原材料に含まれていた、体にいい栄養分や美肌成分が残っていると考えられます。その美肌成分を生かすのが、ここでご紹介する「焼酎石けん」です。なお、まだ研究の段階ですが、本格焼酎全般に含まれるうまみ成分エステルや、いも焼酎の香り成分ゲラニオールなども肌に働きかけるなんらかの効能があると考えられています。